モズは私の方を振り向くと、ひとつ間をおいて、うっそうとした茂みへ飛んでった。
その姿はまるで…。
「ごきげんよう、さようなら」と言っているかのようであった。
雨は明朝にやみ、ちらりほらりと晴れ間が見えはじめた日曜日。
晴れるのであれば行かねばなるまい。
そう思い立つやいなや。
準備を速やかに済ませて、大泉緑地公園へ向かってチャリンコを走らせる。
もう毎週のように野鳥撮影に出かけているように思う今日この頃。
野鳥を撮るのも楽しいけれど、自然の中を歩くという事がきっと好きなんだと思う。
夏場の虫との戯れは、難儀なことこの上ないのだけれど…。
大泉緑地公園に到着すると、数人の野鳥撮影に来られている方を見かけた。雨あがりだし、誰もいなくて独占できると思っていたのに、残念である。
どういうわけだかこの日は、ヒヨドリがいつものように騒がしくなく、静かな感じだった。
いつものいろんな野鳥を撮り歩いていると…。
遠くに鳥の姿を発見し、なんやろううなぁ?と思いつつカメラを向け見てみると、モズがいた。
スマホで見ると小さくてわからないだろうか?
写真の中央にモズの姿が写っているのだ。
大泉緑地公園で見かけたのは、始めたかもしれない。
モズのオス。
まだメスと出会ってないので、いづれ対面したいものである。
モズは地面に下りてきてはつつき。
また、枝へ移動するということを繰り返していた。
私とモズの間には、常に10メートルぐらいの距離感があった。
が、
早々に何処かへ行ってしまうという事がなかったので、ココロ通信でモズと交信しあう時間が流れる。
あらためてモズを見てみると、案外大きいのだなぁと思った。野鳥に関して詳しくない私は、スズメとかシジュウカラと同じ大きさだと思い込んでいたのである。
が、
ひと回りどころか、ふた回り程もデカイではないかと思った。
いまさらながら。
そしてこのモズは、見かけが丸っこくて可愛らしいにもかかわらず、肉食だという事を知り驚きを隠せない。
可愛いなりして、立派なハンターであるということらしい。
モズは身体を私の方へ向け。
あの態勢に入ろうとしているようだ。
モズ君は完全に顔を正面に向けてはいないけれど、勝負にきていると私には感じられた。
あの態勢…。
そうアレである。
鳥が正面を向いたのならば、あっち向いてホイしかないのである。
私はモズが次の瞬間にどちらに向くのかを、慎重にして几帳面に、そして大胆にして豪快に予想しココロ通信で合図を送る。
さぁ、皆さんもご一緒にご参加ください。
あっち!
向いて!
ホイ!
ハイ。
ということで、モズ君は、コチラから見て右に首をかしげるが正解。
私もしてやられたのだ。
前回のソウシチョウの時も予想外の結果だったけれど、まさか首をかしげるとは!
しかもチョットだけ!
ま、
あっち向いてホイ的には、ソウシチョウもモズも反則負けとなるのだろうが、あっち向いてホイをしてくれているのだと考えると、とてもとても憎めないのである。
もし、
もしかして、
あっち向いてホイに参加された方がいらしたならば。
どうかどうか、なにとぞ穏便に、そこのところを宜しくお願い申し上げまつり候。
ということで、モズ君ありがとう。
後、
モズ君は獲物をもとめて飛んで行ったのであった。
おわり