かがやん写真館

撮ってきた写真に 言葉を添えて…。

このような形でお会いしました

その日も私は大泉緑地公園に来ていた。

 

朝早い時間で、天気も悪くないのだけれど、野鳥がいつもよりも少ないような感じだった。

 

もうジョウビタキもいないのかもしれないと、ガッカリしながら歩いていると、道の端の方に何かいることに気が付く。

 

最初はゴミかと思ったが、カメラを向けて覗いて見るとどうやら野鳥のようだった。

 

私はゆっくりと静かに超静か~に歩き近づく。

 

私の素材に気が付いていないのか。ゴミのように見えた野鳥は、まだそこにジッとしていた。

 

「ゴミだと思って、ゴメンよ」と思いながらしばらく観察。

 

何の鳥だろう?

見たことあるのかな?

ツグミかな?

ムクドリかな?

暗くてよくわからんな。

 

私は野鳥を撮っている割には、野鳥のことを知らないのだ。

 

数分ほど、お互いにジッとする時間が流れる。

 

この道は、散歩する人もよく通るトコなので、誰かが来て野鳥が逃げてしまう前に、もう少し近づいて、ハッキリ確認しようとした瞬間。

 

時が動いた。

 

ゴミの塊のようだった何かしらの鳥が、私から距離をとるべく、少し明るいトコへ移動したのである。

 

距離はとられたものの、遠くへ逃げられたわけではなかったのでよかった。

 

私はカメラを向けて写真をばパシャリ!

 

写真を撮っていた時。

ファインダーを覗いていた時には、私はちょっと変わったツグミかな?ぐらいに思っていた。

 

「なんだ。ツグミか」と思いつつ、ありがとうと告げてその場を後にした。

 

その後。

場所を移動し、カワラヒワの群れと遭遇し、下に降りてこないかなぁとしゃがんでぼんやりしていると、男性が声をかけてきた。

 

「すいません。トラツグミを見ませんでしたか?」

 

私はその時、すぐにピンとこなかった。

そのような名前の野鳥を知らないしなぁ~なんて思いながら。

「いやぁ~、見てないかもぉ」

 

「そうですかぁ」と残念そうな男性。

見た感じとても人の好さそうな男性であった。

 

「で、そのトラツグミってどのような鳥なんですか?」と尋ねる私。

 

人の好さそうな男性は、とても丁寧にトラツグミの特徴を説明してくれて、ここいらでは珍しいらしく、大泉緑地公園で見たという情報を得てやって来たのだそうであった。

 

私は話を聞いてて、さっきであったゴミの塊のようだった野鳥のことを思い出した。

 

ので、

さっき撮った先ほどの写真を見せると、コレがなんと、トラツグミだという事である。

 

私はゴミ…じゃなくて、トラツグミと出会った所を、人の好さそうな男性に教え、お互いの健闘を祈りつつ別れたのであった。

 

で、

家に帰宅してから。野鳥図鑑を手にし、トラツグミの説明を読んで見た。

 

そこで出てきたのが『ヌエ』という言葉。

 

トラツグミはヌエとも呼ばれ、鵺と書くらしい。

 

そこで私はピンときて、ハッとして、グッときてしまった。

ココ、ちょい数日前に読んだことがある。

 

こないだYouTubeで観た古い映画を観た後に、野鳥図鑑を手にとりトラツグミを調べていたのである。

 

悪霊島』とかっていう映画だったか。

横溝正史金田一耕助が出てくる物語である。

 

金田一鹿賀丈史さんが演じていて、とても新鮮な感じで観ることが出来たのだ。

 

金田一といったら、私の中で勝手に石坂浩二さんか、古谷一行さんの印象が強かったから…と言うかこのおふたりしか知らなかったのである。

 

で、

この映画の中で、鵺の鳴き声というのが出てくるのだ。

ちなみに、

この鵺の鳴き声は、声マネで、逢引の合図として使われていたのだ。

 

岩下志麻さんの脱いでないのにものすごくエロい演技がとても印象に残った映画でもある。極道の妻というのと、熱狂的な阪神タイガースのファンという印象しかなかったのだが、もうひとつ、あのエロいシーンも記憶として頭に焼き付けておく。

岩下志麻!スゴイ!そこまでやるの!

 

で、

この映画を観終わった時に、鵺という鳥、トラツグミという野鳥もいずれ写真を撮ってみたいなぁと、おぼろげに思っていたのだ。

 

まさかこんな形で、トラツグミと出会えるとは。

 

だがしかし、

もっと写真を撮っておけばよかったと後悔する吉宗であった。

 

おわり